マニュアルページ er_print.1
名前
er_print - 1 つまたは複数のパフォーマンス実験ファイルか ら、
ASCII レポートを出力します。
形式
er_print [ - | -script script | -command | -V ] experiment-list
機能説明
er_print は、パフォーマンスアナライザがサポートするさまざ ま
な表示をプレーンテキストのバージョンで出力するユーティリティ
です。出力は、標準出力で表示されます。実験ファイル は、 col-
lect コマンドまたは dbx collector コマンドを使用して生成され
ます。experiment-list には、実験の名前または実験グループの名
前を含めることができます。実験グループは、グループ中の実験の
名前を含むファイルによって定義されます。子孫のプロセスの実験
ファ イルは、明示的に参照するか、collect(1) マニュアルページ
で説明する方法で子孫のプロセスの実験グループを構築して読み取
ることができます。
注: パフォーマンスアナライザを使用するにはライセンスが必要で
す。
収集されたデータに基づいて、関数、呼び出し元と呼び出 し 先、
ソースファイル、および逆アセンブルリストについて、さまざまな
パフォーマンスのメトリックが計算されます。収集されるデータお
よ び 生 成されるメトリックについては、collect(1) マニュアル
ページを参照してください。グラフィカルな表示に つ い て は、
analyzer(1) マニュアルページを参照してください。
オプション
オプション 意味
- コマンド行から er_print コマンドを読み取る対
話型モードに移行。
-script script 1 行につき 1 つのコマンドを 含 む ファ イ ル
script か ら er_print コマンドを読み取りま
す。
-command 指定されたコマンドを処理します。
-V バージョン情報を表示して終了します。
オプションは表示された順に処理されます。オプションは反復でき
ます。スクリプト、- 引数、および明示的なコマンドは、任意の順
序で混合できます。コマンド引数とスクリプト引数が指定されない
場 合、er_print は対話型モードに入り、コマンド行からコマンド
の読み取りを行います。コマンド行からの入力は、quit コマン ド
に より終了します。SH コマンド er_print が受け付けるコマンド
を以下に示します。コマンドは、コマンド名を特定できる範囲で省
略可能です。
関数リストを制御するコマンド
functions
現在のメトリックのセットで、関数リストを出力します。 関
数 リ ス トには、object_select コマンドによって非表示に
なっているロードオブジェクトも含まれます。
metrics metric_spec
関数リストのメトリックを設定します。metric_spec に は、
メ トリックのキーワードをコロンで区切って指定します。各
キーワードの形式は、<type><visibility><metric-name> で
す。 メトリック 'name' はリストにない場合、リストに追加
されます。
<type> は、包括的を表す "i" または排他的を表す "e" を指
定できます。"ie" や "ei" などの組み合わせは、拡張されま
す。 た と え ば、 "ie<visibility><metric-name>" は
"i<visibility><metric-name>:e<visibility><metric-name>"
に拡張されます。
<visibility> は "." (メトリックを時間として表示)、"%" (
割 合として表示) および "+" (数として表示) と組み合わせ
ることができます。メトリックが時間または数のみとして 表
示される場合、"." と "+" は同義です。カウンタが周期的に
カウントされるハードウェアカウンタプロファイル実験の 場
合、メトリックは通常、時間 (".") として表示されます。こ
れは、<visibility> フィールドで "+" を使用してカウン ト
と して表示できます。時間、割合、数の出現する順序は固定
されています。これは、<visibility> 設定の文字の順序によ
り影響されません。
たとえば、次の行は、包括的ユーザー時間および割合、排 他
的ユーザー時間および割合を、この順序で指定します。
metrics i.%user:e.%user
ロードされた実験から使用可能なすべての <metric-name> 値
の リ ス トは、metric_list コマンドを使用して取得できま
す。メトリックの詳細については、collect(1) マニュ ア ル
ページを参照してください。
デフォルトのメトリックは、.rc ファイルから設定しま す。
詳 細 に ついては、デフォルト設定コマンドの項で説明しま
す。metrics コマンドで明示的に metric_spec を default
に 設定すると、記録されたデータに適切なデフォルト設定が
復元されます。
metric_spec が省略されると、現在のメトリックの設定が 出
力されます。
metrics コマンドにエラーが発生した場合、警告が出力さ れ
ますがエラーは無視され、それまでの設定は有効です。
sort metric_spec
指定されたメトリックで関数リス ト を ソー ト し ま す。
metric_spec については metrics コマンドの説明を参照して
ください。たとえば、次の行は、包括的ユーザー時間で ソー
トを行うことを意味します。
sort i.user
メトリック名の <visibility> は、ソート順序に影響しま せ
ん。
metric_spec に複数のメトリックを指定した場合、最初に 指
定したメトリックが使用されます。
metric_spec が省略されると、現在のソートメトリックが 出
力されます。
fsummary
関数リスト内のそれぞれの関数について、現在のソートメ ト
リッ クで指定される順序で概要メトリックパネルを記述しま
す。object_select コマンドで非表示になっている関数を 持
つすべてのロードオブジェクトを含まれます。
fsingle function_name [N]
指定された関数について概要メトリックパネルを出 力 し ま
す。 関数名があいまいな場合には、任意指定のパラメータ N
が必要です。詳細については、source コマンドの説明を参照
し てください。コマンド行に指令が含まれる場合、N の指定
が必要です。必要でない場合は、N は無視されます。
呼び出し元と呼び出し先のリストを制御するコマンド
callers-callees
最新の cmetrics 指定を使用して、関数リストソー ト メ ト
リッ ク (sort) で指定される順序で、それぞれの関数につい
て callers-callees パネルを記述します。
cmetrics metric_spec
呼び出し元と呼び出し先の (callers-callees) メトリックを
設定します。metric_spec は metrics セクションで定義され
ていますが、属性として <type> "a" が追加されます。
デフォルトで、呼び出し元と呼び出し先のメトリックは、 呼
び 出し元と呼び出し先コマンドが処理されたときに関数リス
トメトリックと一致するように設定され、属性メ ト リッ ク
は、 関数リストで表示できるすべてのメトリックに付加され
ます。
metric_spec が省略されると、現在の呼び出し元と呼び出 し
先のメトリック設定が出力されます。
csingle
function_name [N] 指定された関数について呼び出し元と 呼
び 出し先のメトリックパネルを出力します。関数名があいま
いな場合には、任意指定のパラメータ N が必要です。詳細に
ついては、source コマンドの説明を参照してください。コマ
ンド行に指令が含まれる場合、N の指定が必要です。必要 で
ない場合は、N は無視されます。
csort metric_spec
各関数に関する callers-callees レポート内で、指定のメト
リッ ク に より、呼び出し元と呼び出し先をソートします。
csort メトリックは、属性メトリック、アドレスまたは名 前
で な け れ ば な り ま せ ん。 デ フォルトでは、これは
callers-callees コマンドが処理されるときの関数 リ ス ト
ソートメトリックに対応する属性メトリックです。
metric-spec が省略されると、現在の呼び出し元と呼び出 し
先のソートメトリック設定が出力されます。
リークリストと割り当てリストを制御するコマンド
leaks
サイズによりソートされるリークのリストをそれぞれの呼 び
出 しスタックとともに出力します。リークリスト内のエント
リは、共通呼び出しスタックにより収集されます。
allocs
サイズによりソートされる割り当てのリストをそれぞれの 呼
び 出しスタックとともに出力します。割り当てリスト内のエ
ントリは、共通呼び出しスタックにより収集されます。
ソースと逆アセンブリリストを制御するコマンド
pcs PC (Program Counter) とそのメトリックのリストを、現在の
ソー トメトリックで指定される順序で出力します。リストに
は、object_select コマンドによって関数が非表示になっ て
い るロードオブジェクトのメトリックを表示する行も含まれ
ます。
psummary
PC リスト内のそれぞれの PC について、現在のソート メ ト
リッ クで指定される順序で概要メトリックパネルを記述しま
す。
lines
ソース行とそのメトリックのリストを、現在のソー ト メ ト
リッ クで指定される順序で出力します。ソース行とそのメト
リックのリストを、現在のソートメトリックで指定される 順
序 で出力します。リストには、行番号情報を持たない関数や
ソースファイルが不明な関数のメトリックを表示 す る 行、
object_select コマンドによって関数が非表示になっている
ロードオブジェクトのメトリックを表示する行も含 ま れ ま
す。
lsummary
ソース行リスト内のそれぞれの行について、現在のソート メ
ト リックで指定される順序で概要メトリックパネルを記述し
ます。
source { filename | function_name } [N]
指定されたオブジェクトファイル、または指定された関数 を
含 むオブジェクトファイルの注釈付きソースを記述します。
任意指定のパラメータ N は、ファイル名または関数名があい
ま い である場合に必要となります。そのような場合には、N
番目の選択肢が使用されます (番号付けは 1 から始まります
)。 あいまいな名前が数値指示子 N なしで指定されている場
合、注釈付きソースの代わりに選択肢リストが出力 さ れ ま
す。 各 リ スト項目には、N に使用可能な数字、関数または
ファイルを参照するオブジェクトモジュールの名前、なら び
に 関数名があいまいな場合にはその関数名が含まれます。可
能性のある数字が複数あり、N に指定された数字がその範 囲
内 にない場合は、エラーが報告されます。つまり、可能性の
ある数字が 1 つだけの場合は、エラーは無視されます。コマ
ン ド行で -source が使用された場合、パラメータ N は任意
指定ではなく必須指定です。必要のない場合は無視 さ れ ま
す。
どの関数でも、デフォルトのソースコンテキストは、その 関
数 の最初の命令を含むものがソースファイルとして定義され
ます。通常、これは、その関数を含むオブジェクトモ ジュー
ル を生成するためにコンパイルされたソースファイルになり
ます。代替のソースコンテキストは、関数内に含まれる命 令
を 持つ他のファイルから構成されます。このコンテキストに
は、インクルードファイルから取り込まれた命令や、指定 さ
れ た関数にインライン化された関数から取り込まれた命令な
どが含まれます。
関数名は、function`file` としても指定できます。この
file は、関数の代替ソースコンテキストの指定に使用さ れ
ます。
コンパイラのコメントが選択されている場合、コメ ン ト は
ソー スリストのソース行に挿入されます。ユーザーが注意す
べき行を見つけ易いよう、メトリックがその最大値に対す る
し きい値 (百分率) に等しいか、しきい値を超えている行の
先頭に、文字列 "##" を付加できます。表示するしきい値 お
よ び コ メ ン トのクラスは、ソースしきい値オプションの
sthresh と、ソースのコンパイラのコメントに対する設定 の
オプションの scc を使って制御します。
setpath コマンドで指定されるパスを使ってファイルを検 索
し ます。さらに見つからない場合は、実行可能ファイルに記
録された絶対パス名で検索します。ソースを移動したか、 実
験 ファイルが異なるファイルシステムに記録された場合は、
現在のディレクトリから実際のソースのある場所へ シ ン ボ
リッ クリンクを設定して、注釈付きのソースを参照するか、
ソースコードをコピーしてオブジェクトを実験ファ イ ル に
ロードすることができます。
src { filename | function_name } [N]
source と同じです。
disasm { filename | function_name } [N]
特定のオブジェクトファイル、または特定の関数を含むオ ブ
ジェ クトファイルの注釈付き逆アセンブリを出力します。あ
いまいな表現は、source コマンドと同じ方法で解決さ れ ま
す。
逆アセンブリのリストには、使用可能な場合に は、 ソー ス
と、 挿入された選択済みコンパイラコメントが含まれます。
ユーザーが注意すべき行を見つけ易いよう、行のメトリッ ク
値 がその最大値に対するしきい値 (百分率) に等しいか、し
きい値を超えている場合は、その行の先頭に、文字 列 "##"
を付加できます。しきい値は dthresh コマンドによって設定
されます。表示されるコメントのクラスは、dcc コマンド に
より設定されます。
source コマンドの説明で述べたように、指定された逆アセン
ブ リのソースファイルを検索し、逆アセンブリでソースをイ
ンタリーブします。ソースファイルが存在しない場合は、 逆
ア センブリは、ソースやコンパイラのコメントなしで表示さ
れます。
scc com_spec
注釈付きソースでどのコンパイラのコメントのクラスが表 示
できるかを指定します。class_list はコロンで区切ったクラ
スのリストです。各クラスは、特定のメッセージの型を参 照
します。使用できるクラスは、以下のとおりです。
b[asic] - すべてのクラスから基本メッセージを表示し
ます
v[ersion] - バージョンメッセージを表示します
w[arn] - 警告メッセージを表示します
pa[rallel] - 並列化メッセージを表示します
q[uery] - コンパイラからの質問を表示します
l[oop] - ループの変形メッセージを表示します
pi[pe] - パイプライン化メッセージを表示します
i[nline] - インライン化メッセージを表示します
m[emops] - メモリー操作についてのメッセージを表 示
します
f[e] - フロントエンドのメッセージを表示します
c[g] - コードジェネレータのメッセージを表示します
all - すべてのメッセージを表示します
none - メッセージを表示しません
"all" および "none" のクラスは、他のクラスとの併用は で
きません。
互換性のために、重要な行にフラグが付けられるし き い 値
を、 "all" と "none" も含め任意のクラスを使用して、リス
トに含めることができます。
t[hreshold]=nn
メトリックの値が、ファイル中のいずれかの行にあるその メ
ト リックの最大値の nn パーセントより大きい場合は、その
行を重要とみなしてフラグを付けます。nn のデフォル ト 値
は、75 です。
たとえば、
scc l:pi:t=50
は、ループの変形メッセージおよびパイプライン化メッ セー
ジの表示を意味し、しきい値を 50% に設定します。
scc コマンドが指定されなかった場合、デフォルトの設定 は
以下のようになります。
scc all
com_spec が指定されなかった場合、コンパイラのコメントは
出 力されません。scc コマンドは、通常は .er.rc ファイル
のみに使用されます。
sthresh value
ソース内の重要な行にフラグが付けられるしきい値を設定 し
ま す。行のメトリックの値が、ファイル中のいずれかの行に
あるそのメトリックの最大値の value パーセントより大きい
場 合は、その行その行を重要とみなしてフラグを付けます。
value のデフォルト値は、75 です。
dcc com_spec
注釈付き逆アセンブリでどのコンパイラのコメントのクラ ス
が 表 示 さ れ る か 指定します。このコマンドで指定する
com_spec には、いずれかの scc クラスと以下の追加クラ ス
を含めることができます。
h[ex] - 各命令の 16 進数表現を表示します
noh[ex] - 各命令の 16 進数表現を表示しません
s[rc] - ソースを逆アセンブリでインタリーブします (
デフォルト)
as[rc] - 注釈付きソースをソース行メトリックに よっ
て逆アセンブリでインタリーブします
nos[rc] - ソースを逆アセンブリでインタリーブしませ
ん
dcc コマンドが指定されなかった場合、デフォルトの設定 は
以下のようになります。
dcc all:src
このコマンドは通常は .er.rc ファイルのみに使用 さ れ ま
す。
cc com_spec
ソースおよび逆アセンブリ両方に対するコンパイラのコメ ン
トを指定します
dthresh value
逆アセンブリで重要な行にフラグが付けられるしきい値を 設
定 します。行のメトリックの値が、ファイル中のいずれかの
行にあるそのメトリックの最大値の value パーセントより大
き い場合は、その行その行を重要とみなしてフラグを付けま
す。value のデフォルト値は、75 です。
setpath path_list
ソースファイル、オブジェクトファイル、etc. ファイルの検
索 に使用するパスを設定します。path_list には、ディレク
トリをコロンで区切って指定します。コロンを含むディレ ク
ト リを指定する場合は、ディレクトリ中のコロンにバックス
ラッシュを付ける必要があります。特別なディレクトリ名 で
あ る $expts を指定すると、現在の実験をロードされた順番
に指定したことになります。$expts は、$ 1 文字で省略指定
することができます。
デフォルトの設定は、$expts:. です。検索を行なってもファ
イ ルが見つからない場合は、編集済みのフルパス名が現在の
パス設定として使用されます。
引数なしの setpath は、現在のパスを表示します。
addpath path_list
現在の setpath の設定に path_list を追加します。
データ領域リストを制御するコマンド
data_objects
データオブジェクトとそのメトリックのリストを表 示 し ま
す。 アグレッシブなバックトラックが指定されているハード
ウェアカウンタ実験と -xhwcprof (SPARC 上で C でのみ使用
可 能) を使用してコンパイルしたファイル内のオブジェクト
に対してのみ適用できます。詳細については、C コンパイ ラ
のマニュアルを参照してください。
data_osingle name [N]
指定されたデータオブジェクトについて概要メトリックパ ネ
ル を出力します。オブジェクト名があいまいな場合には、任
意指定のパラメータ N が必要です。コマンド行に指令が含ま
れ る場合、N の指定が必要です。必要でない場合は、N は無
視されます。アグレッシブなバックトラックが指定されて い
るハードウェアカウンタ実験と -xhwcprof (SPARC 上で C で
のみ使用可能) を使用してコンパイルしたファイル内のオ ブ
ジェ クトに対してのみ適用できます。詳細については、C コ
ンパイラのマニュアルを参照してください。
data_olayout
データ派生メトリックデータを持つすべてのプログラム デー
タ オブジェクト用に、実験のロードオブジェクト内で定義さ
れている順番で、注釈付きのデータオブジェクトを作成し ま
す。 各集合体のデータオブジェクトが、合計メトリック属性
がそのすべての要素の後にオフセット順で表示され、それ ぞ
れが所有するメトリックとそのサイズ、32 バイトブロックへ
の相対パスも表示されます。
実験、標本、スレッド、および LWP をリストするコマンド
exp_list
ロードされた実験のリストを表示します。各実験はイン デッ
ク ス付きでリストされ、インデックスは標本、スレッド、ま
たは LWP の選択に使用できます。
sample_list
実験中に処理された標本のリストを表示します。
lwp_list
実験中に処理された LWP のリストを表示します。
thread_list
実験中に処理されたスレッドのリストを表示します。
cpu_list
実験中に使用された CPU のリストを表示します。
実験、標本、スレッド、LWP の選択を制御するコマンド
以下のコマンドは、データが表示される実験、標本、スレッド、お
よび LWP を選択します。
sample_select sample_spec
sample_spec は、以下で説明する標本のリストです。
lwp_select lwp_spec
lwp_spec は、以下で説明する LWP のリストです。
thread_select thread_spec
thread_spec は、以下で説明するスレッドのリストです。
cpu_select cpu_spec
cpu_spec は、以下で説明する CPU のリストです。
上記の各リストは、1 つの番号、番号の範囲 (n - m)、番号や範囲
を コンマで区切ったリスト、または明示的な文字列 "all" で指定
します。各リストの前に任意で、同じフォーマットをもつ、コロン
(:) で区切られた実験リストを設定できます。複数のリストは、+
記号で区切って連結できます。また、空白を含んではなりません。
実験リストが含まれていない場合、リストはすべての実験に対して
適用されます。
4 つある選択対象 (スレッド、LWP、CPU、標本 ) に 対 応 し た
select コ マ ンドによって、実験の選択を行います。選択したス
レッド、LWP、CPU、もしくは標本が存在する実験を、実験リストに
指定してください。実験が指定されていない場合には、すべての実
験が選択されます。実験リストに無い実験を対照した選択は無効に
なります。
例:
thread_select 1
すべての実験の中から、スレッド 1 を選択します。
thread_select all:1
すべての実験の中から、スレッド 1 を選択します。
thread_select all:1,3,5
すべての実験の中から、スレッド 1、3、5 を選択します。
thread_select 1,2:all
exp_list にリストされているように、実験 1 と実験 2 か
ら、すべてのスレッドを選択します。
thread_select 1:1+2:2
実験 1 の中からスレッド 1を、実験 2 の中からスレッド 2
を選択します。
ロードオブジェクトの選択を制御するコマンド
object_list
有効なロードオブジェクトの選択状態と名前を 2 つの欄から
な る一覧の形式で表示します。最初の欄に選択状態、2 つ目
の欄に名前を表示します。ロードオブジェクトの関数が関 数
リストにある場合は yes 、関数が関数リストにない場合は、
no がそれぞれ表示されます。
object_select object1,object2,...
有効なロードオブジェクトのリストを設定します。オブ ジェ
ク トの名前は、フルパス名またはベース名です。その名前が
コンマを含む場合には、二重引用符で囲む必要がありま す。
ロー ドオブジェクトが選択されている場合は、関数リスト内
の、メトリック値がゼロ以外のそのすべての関数を表示し ま
す。 ロー ド オブジェクトが選択されていない場合は、その
個々の関数ではなく、ロードオブジェクト全体のメトリッ ク
を 1 行で表示します。
デフォルトでは、すべてのロードオブジェクトが選択され ま
す。
メトリックをリストするコマンド
metric_list
現在選択した関数リストメトリックと、それらを他のコマ ン
ド 中でも参照可能な sort などのメトリックやキーワード名
のリストを表示します。メトリックキーワードの書式につ い
て は、metrics についての項で説明しています。使用可能な
メトリックは、収集されたデータにより異なり ま す。 col-
lect(1) のマニュアルページを参照してください。
cmetric_list
現在選択されている callers-callees メ ト リッ ク と、
callers-callees レポートに関するメトリックとキーワード
名のリストを表示します。metric_list の出力と同じ方法 で
リ ストを表示しますが、さらに属性メトリックが含まれてい
ます。
出力を制御するコマンド
outfile filename
開かれている出力ファイルをすべて閉じて、これ以降の出 力
用 に filename を開きます。filename にマイナス記号 (-)
が指定された場合、出力は stdout に書き込まれます。
limit n
レポートの最初の n 個のエントリに出力を制限します。ここ
で、n は符号なしの整数です。
name { long | short }
C++ 関数名の long または short 形式を使用します。
javamode {on|expert|off}
Java 実験のモードを on (Java モデルを表示する)、 expert
(Java モデルを表示するが、HotSpot を使用してコンパイル
したメソッドは別に、解釈されたメソッドから表示する)、ま
たは off (マシンモデルを表示する) に設定します。
その他の表示を出力するコマンド
header [ exp_id ]
指定された実験に関する記述情報を出力します。exp_id は、
experiment_list コマンドでリストされる実験の数値識別子
です。exp_id が all か、または省略された場合は、すべ て
の 実験のヘッダーが記述されます。それぞれのヘッダーに準
じて、エラーまたは警告が出力されます。各実験のヘッ ダー
は、ハイフンで区切られます。
実験ディレクトリに notes という名前のファイルが含まれて
い る場合は、そのファイルの内容がヘッダー情報の先頭に付
加されます。
exp_id は、スクリプトや対話モードではなく、コマンド行か
ら入力する必要があります。
objects
パフォーマンス解析にロードオブジェクトを使用した結果 出
力 されるエラーメッセージや警告メッセージに、ロードオブ
ジェクトを一覧表示します。
overview [ exp_id ]
指定した実験の、各標本のデータも含めた、標本リストを 出
力 します。experiment-id は、experiment_list コマンドで
リストされる実験の数値識別子です。exp_id が all か、 ま
た は 省 略された場合は、すべての実験の概要が記述されま
す。
exp_id は、スクリプトや対話モードではなく、コマンド行か
ら入力する必要があります。
statistics [ exp_id ]
指定した実験の、実行統計データを出力します。データは 現
在 の 標 本 セッ ト で 収 集されたものです。exp_id は、
experiment_list コマンドでリストされる実験の数値識別 子
で す。 exp_id が省略された場合は、その標本による選択に
従って、すべての実験全体の集計値が書き 込 ま れ ま す。
exp_id が all の場合は、各実験で選択された標本の集計値
と統計が書き込まれます。
exp_id は、スクリプトや対話モードではなく、コマンド行か
ら入力する必要があります。
デフォルト設定コマンド
er_print で生成されるレポートおよびアナライザでの表示の多 く
は、デフォルトとして .er.rc リソースファイルに設定できます。
er_print とパフォーマンスアナライザは、システム規模の .er.rc
ファ イルを処理し、次にユーザーのホームディレクトリの .er.rc
ファイルが存在すればそれを処理し、次に現在のディレクト リ の
.er.rc ファイルが存在すればそれを処理します。各ファイルから
読み取られた指令は、以前に読み取られた指令よりも優先さ れ ま
す。
これらのファイルには、上述の と お り scc、 sthresh、 dcc、
dthresh、setpath、addpath、name および javamode コマンドを含
めることができます。以下のコマンドを含めることもできますが、
これらのコマンドは、コマンド行またはスクリプトには使用できな
い場合があります。
dmetrics metric_spec
メトリックのデフォルトの順番や可視設定を指定します。 複
数 の dmetrics コマンドが er.rc に指定され、連結されま
す。さまざまなファイルからの dmetrics は、現在ディレ ク
ト リ、ユーザーのホームディレクトリ、システムの順番に連
結されます。
metric_spec については、上述の metrics コマンドの項で説
明していますが、以下が追加されます。
<visibility> は、メトリックのバージョンが不可視であるこ
と を 意味する "!" に設定できます。これにより、ユーザー
は、デフォルトでバージョンを可視に設定しなくても、メ ト
リックの順番を指定することができます。
2 つの汎用メトリック名を指定できます。"hwc" はすべて の
ハー ドウェアカウンタメトリックを意味し、"any" はすべて
のメトリックを意味します。
ロードされた実験から計算されたすべてのメトリックにつ い
て、 すべての dmetrics の連結リストが一致するかどうかが
走査されます。最初の一致したエントリにより、関数リス ト
お よび呼び出し元と呼び出し先のリスト内のメトリックの可
視設定と順番が決定されます。
dsort metric_spec
デフォルトで、関数リストをソートするために使用される メ
ト リックを指定します。ソートメトリックの決定には、実験
ファイルのメトリックに一致する dsort 指定の最初の メ ト
リッ クが、次の条件で使用されます。dsort metric_spec の
エントリの <visibility> が "!" の場合、名前が一致した最
初 のメトリックが、見えるか見えないかに関わらず、使用さ
れます。<visibility> のその他の設定が使用された場合、名
前 が 一 致 し た 最 初の可視メトリックが使用されます。
dmetrics と同様に、さまざまな .er.rc ファイ ル か ら の
dsort 指定が、現在ディレクトリ、ユーザーのホームディレ
クトリ、システムの順番に連結されます。
gdemangle library.so
gdemangle コマンドは廃止されており、無 視 さ れ ま す。
(er_print には、GNU 復号化プログラムを独自に実装したも
のが含まれています。)
パフォーマンスアナライザにのみ影響を与えるデフォルト設定コマ ン
ド
tlmode tl_mode
「タイムライン」タブの表示モードオプションを設 定 し ま
す。 tl_mode には、以下に示すオプションをコロンで区切っ
て指定します。
値 意味
lw[p] LWP のイベントを表示します
t[hread] スレッドのイベントを表示します
c[pu] CPU のイベントを表示します
r[oot] 呼び出しスタックをルートに配置します
le[af] 呼び出しスタックをリーフに配置します
d[epth]=nn
表示可能な呼び出しスタックの最大の深さを設 定
します
lwp、thread、cpu のうちの 2 つを同時に指定することは で
きません。また、root と leaf を同時に指定することはでき
ません。同時に指定すると、最後に指定したオプションが 使
用されます。
tldata tl_data
「タイムライン」タブに表示されるデフォルトのデータの 種
類 を設定します。tl_data には、以下に示す種類をコロンで
区切って指定します。
値 意味
sa[mple] 標本データを表示します
c[lock] 時間プロファイルデータを表示します
hw[c] ハードウェアカウンタプロファイルデータを表 示
します
sy[nctrace]
スレッド同期トレースデータを表示します
mp[itrace]
MPI トレースデータを表示します
he[aptrace]
ヒープトレースデータを表示します
datamode {on|off}
データ領域関係の画面の表示モードを on (タブを表示する )
または off (タブを表示しない) に設定します。
その他のコマンド
mapfile load-object mapfilename
指定されたロードオブジェクトのマップファ イ ル を map-
filename に書き込みます。mapfilename にダッシュ(-) を指
定すると、マップファイルを .B stdout に書き込みます。関
数 リストをソートするように現在設定されているメトリック
を使ってマップファイルを順序付けます。
script script
指定されたスクリプト内のコマンドを処理します。
version
er_print の現在のリリースバージョンを表示します。
quit 対話型モードを終了します。このコマンドをスクリプト内 で
使 用すると、スクリプト内のコマンドがそれ以上処理されな
くなります。
help ヘルプ情報を表示します。
# ...
スクリプトまたは .er.rc ファイルで使用されるコメント行
互換性
er_print は、以前のバージョンのツールで記録された実験には 使
用できません。このような実験に er_print を実行すると、エラー
メッセーが出力されます。実験の記録されたリリースの er_print
バージョンを使用してください。
関連項目
analyzer(1)、 collect(1)、 collector(1)、 dbx(1)、
er_archive(1)、 er_cp(1)、 er_export(1)、 er_mv(1)、
er_rm(1)、 er_src(1)、 libcollector(3)、および
『プログラムのパフォーマンス解析』マニュアル