更新日付: 2004 年 3 月 15 日

Sun[tm] Studio 9: Sun Performance Library Readme

目次

  1. はじめに
  2. Sun Performance Library について
  3. 新規および変更された機能
  4. ソフトウェアの修正事項
  5. 問題点と回避策
  6. 制限事項と互換性の問題
  7. 記述の誤りの訂正
Early Access の使用記録 (Usage Tracking) - 無効にする方法

 


A. はじめに

この文書では、Sun Studio 9 に付属の Sun Performance Library[tm] に関する情報を提供します。

また、本書の記載内容はソフトウェアマニュアルの情報を更新ないし補充します。

製品マニュアル

注 - Sun Studio 9 ソフトウェアがデフォルトの /opt 以外のディレクトリにインストールされている場合は、ご使用のシステムにおける実際のパスを、システム管理者に確認してください。

 


B. Sun Performance Library について

このリリースの Sun Performance Library は、Solaris[tm] オペレーティング環境 (SPARC プラットフォーム版) バージョン 8、9、10 で利用できます。

Sun Performance Library は、線形代数問題や非線形問題を数値的に解くための最適化された、かつ高速な数学サブルーチンを集めたものです。Sun Performance Library は、Netlib (http://www.netlib.org) から入手できるパブリックドメインアプリケーション群にもとづいて作成されています。サンはこれらのパブリックドメインアプリケーションの機能を拡張し、これらを Sun Performance Library としてバンドルしました。

Sun Performance Library には、次の標準ライブラリの拡張版も含まれています。

Sun Performance Library には、次の追加ルーチンが含まれています。

互換性

Sun Performance Library の LAPACK 3.0 ルーチンは、LAPACK 1.x や LAPACK 2.0 など、以前のバージョンの LAPACK から供給されているユーザールーチンや LAPACK3.0 内のすべてのルーチンとの互換性があります。ただし、LAPACK 3.0 の内部変更によって、内部ルーチンとの互換性は保証できません。 Netlib から入手できる LAPACK ソースコードでは、非互換の可能性がある内部ルーチンは auxiliary ルーチンと呼ばれます。『LAPACK Users' Guide』に auxiliary ルーチンに関する情報があります。このガイドは、http://www.siam.org にある SIAM (Society for Industrial and Applied Mathematics) から入手できます。

LAPACK の auxiliary ルーチンのユーザーインタフェースは、LAPACK のリリースごとに変えることができるので、Sun Performane Library でも LAPACK の auxiliary ルーチンのユーザーインタフェースを変更できます。LAPACK 3.0 と互換性のある auxiliary ルーチンは、通常、ユーザーによる呼び出しに使用できますが、auxiliary ルーチンについてはマニュアルへの記載、テスト、およびサポートが特にされていません。LAPACK の auxiliary ルーチンのユーザーインタフェースは、Sun Performance Library の将来のリリースで変更される可能性があることに注意してください。そのため、ユーザーインタフェースは、該当バージョンの Sun Performance Library でサポートされる LAPACK のバージョンに対応します。

関連文書

以下の Sun Performance Library 関連文書が提供されています。

その他の情報については、『LAPACK Users' Guide』 (第 3 版、Anderson, E. ほか著、SIAM、1999) を参照してください。SIAM (Society for Industrial and Applied Mathematics) または書店で入手できます。『LAPACK User's Guide』は、Netlib で提供している LAPACK 3.0 基本ルーチンに関する公式の解説書です。LAPACK 3.0 ルーチンについて、数学的に説明しています。

 


C. 新規および変更された機能

ここでは、Sun Studio 9, Sun Performance Library の新規機能および変更機能について説明します。

  1. x86 用の Sun Performance Library をリリース

    このリリースの Sun Performance Library には、Solaris および x86 両方のプラットフォーム用のライブラリが含まれています。また、次の 2 つのバージョンがあります。

    • SSE2 命令セットをサポートするシステム用の SSE2 命令を使用する高性能バージョン
    • SSE2 をサポートしていないシステムに適した互換性バージョン

    x86 版の Sun Performance Library は、次の点を除けば、SPARC 版と機能的に同じです。

    • Quad 精度ルーチン (dqdoti、dqdota) は使用できない
    • 区間 BLAS ルーチンは使用できない
    • X86 ライブラリはシングルスレッド
    • 32 ビットアドレッシングのみ使用可能
    • Portable Library Performance 機能は、Solaris x86 版では使用できない

    SSE2 のサポートには、次のバージョンの Solaris x86 版が必要です。

    • Solaris 10 ビルド 48 以降
    • Solaris 9 update 5 ビルド 6 以降

    最適化済みの高性能 SSE2 ライブラリを使用してリンクするには、-xarch=sse2 フラグを使用します。以下に例を示します。

    f95 -xarch=sse2 example.f -xlic_lib=sunperf
    

    または

         
    cc -xarch=sse2 example.c -xlic_lib=sunperf
    

D. ソフトウェアの修正事項

現時点では新しい情報はありません。

 


E. 問題点と回避策

ここでは、これまでに判明しているソフトウェアの問題点とその回避策について説明します。 最新情報については、http://docs.sun.com から入手可能なリリースノートを参照してください。

  1. v9 (64 ビット) libsunperf ライブラリをリンクするとリンク時間が長くなる

    Solaris 8 のリンクエディタのバグ (4369068) が原因で、libsunperf などの弱いシンボル (weak symbol) を数多く持った 64 ビットのライブラリをリンクすると、リンク時間が長くなります。このリンクエディタのバグで影響を受けるのは、make のパフォーマンスだけで、実行時のパフォーマンスには影響はありません。

    このリンクエディタのバグは、次のパッチで修正できます。

    • Solaris 8 オペレーティング環境 パッチ 109147-09 以上

    上記のパッチは、http://sunsolve.sun.com からダウンロードできます。


F. 制限事項と互換性の問題 

現時点では新しい情報はありません。

 


G. 記述の誤りの訂正

現時点では新しい情報はありません。

Early Access の使用記録 (Usage Tracking)

使用記録は、サンのコンパイラおよびツールを開発者がどのように利用しているかの情報をサンのソフトウェア技術者が収集する手段の 1 つです。この情報は、将来の製品の品質の向上に役立てられます。

この Early Access リリースには、使用記録が実装されています。使用記録は、最終リリースでは有効にしない予定です。

使用記録は、ユーザーが指定するコンパイラコマンドオプションを捕捉します。また uname -a コマンドを使用して、実行時環境からプラットフォーム情報やオペレーティングシステム情報を収集します。ファイル名やディレクトリ名、マクロは収集されません。たとえば次のコマンドが実行されたと仮定します。

   cc -DMACRO -L/directory1 -I/directory2 -Xa -O hello.c

この場合は、次の情報だけがサンに送信されます。

   cc -D -L -I -Xa -O

コンパイラまたはツールが起動されるたびに、使用されたオプションが /tmp/.UT.. ファイルに記録されます。このログファイルのサイズが 10K バイトを超えるか、24 時間以上古くなると、ファイルがサンに送信されます。

使用記録は、Sun Studio 9 のコンパイラまたはツールを実行する前に UT_NO_USAGE_TRACKING 環境変数を定義することによって無効にすることができます。

使用記録を無効にするには、次のようにします。

  
(csh の場合)
% setenv UT_NO_USAGE_TRACKING

(ksh の場合)
$ export UT_NO_USAGE_TRACKING

(sh の場合)
$ set UT_NO_USAGE_TRACKING
$ export UT_NO_USAGE_TRACKING

 


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